競技復帰の落とし穴

―「もう大丈夫」の判断で、本当に大丈夫?


はじめに

怪我から復帰する過程は、選手にとっても、支えるトレーナーとっても非常に慎重に進めなければならない案件です。
しかし、復帰した直後に再びケガをしてしまう選手も少なくありません。
2025年10月16日のRTP(Return to Play)トレーニングでは、4人中2人が途中で再受傷しました。

この事例をもとに、どんなトレーニングが行われ、何が起きたのか? そして、どうすれば再発を防げるのか? を、GPSデータと共にわかりやすく解説します。

トレーニング構成

この日は以下のようなプログラムが行われました:

1. ウォームアップ(10分)

  • 内容:セルフ
  • 目的:体温を上げ、動きの準備をする

2. Broken Bronco × 3セット

  • 目標:60秒以内に完走 × 3回(30秒レスト)
  • 高強度インターバル走で、心肺機能とスピードの両方をチェック

3. Pyramid × 2セット

  • 22m~100m(各ライン毎)までのスプリントとジョグバックを1セットとし、それを2回繰り返す
  • 最大スピード・持久力・筋肉の耐性を評価する重要メニュー

GPSデータで見る「何が起きたか」

今回はWUP(ウォーミングアップ)不足の可能性(データが強く示唆)

WUP不足は、C選手の受傷リスクを特に高めた可能性がデータによって強く裏付けられています

また、他の2名に関しても決して準備がしっかりできていたかというとできていないので運が良かったともいえます。

なぜ起きた?「評価ミス vs 準備不足」

この再受傷は、「評価のミス」なのか? それとも「選手の取り組み姿勢」の問題か?

評価ミスの可能性

  • 復帰前のこのプログラムを行う過程で段階的なトレーニングがされていたのか。
  • このトレーニングに耐えれる状態にフィジカルはあったのか

準備不足が問題の可能性

  • 上記のデータですでに示しているが誰1人max vel.(m/s)が自分の90%~95%に達していない。
  • HIR(%)が0mということは練習に入る姿勢としてはあってはならないこと。

保護者・指導者の皆さんへ

選手が「出られる」と言っても、それが「戻れる」ことを意味するわけではありません。

  • 本人の主観と実際の動きにはズレがある
  • 数字(スピード・加速度・走行距離)は正直です

✅今後の対応策

見直すべき点改善提案
ウォームアップストレッチ・スプリント(速度)の管理
スプリント評価100mまで耐えられる段階的RTP設計
ケガ予防ノルディックハムなどのハムストリング強化
アライメントの評価一定基準に満たさないと復帰ができない状態をつくる

まとめ

RTPの成功は、“トレーニングをこなせたか”ではなく、“ケガをする前より高いパフォーマンスができるようになる”が正解です。

今回のケースは、よくある話なので内容を参考にしてReturn To Playに取り組んで欲しいです。
そして選手は安心して復帰できるよう、数字と感覚の両方を大切にして復帰まで頑張って欲しいです。

ピンチ(怪我をして離脱したこと)をチャンスに変えるのは自分次第!!

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