GPSデータで見るプロと大学ラグビーの違い—育成世代の目指すべき指標とは?

近年、ラグビー界ではGPSを活用したパフォーマンス分析が普及してきました。しかし、まだ一般的には十分に活用されておらず、スマートウォッチなどで心拍数やGPSデータを取得できても、それをトレーニングに生かしている人は多くありません。

選手のパフォーマンス向上を目指すなら、高価なスパイクやウェアを購入する前に、まず自分の動きを客観的に把握し、データを基にトレーニングを最適化することが重要です。

今回は、某リーグワンチーム(プロ)と天理大学ラグビー部(大学生)のGPSデータを比較し、大学生がプロに負けないためにどのような指標を意識し、どのようにトレーニングすべきかを考えていきます。

なぜGPSデータを公開すべきなのか?

日本ラグビーのレベルを向上させるためには、育成世代に明確な指標を示し、プロとの差を可視化することが重要です。
データをオープンにすることで、選手や指導者が具体的な目標を持って練習や試合に取り組めるようになります。

GPSで測定できる主な指標

GPSはさまざまなデータを取得できますが、一般的には以下のような項目が注目されます。

  • 総走行距離:試合や練習で何m走ったか
  • ハイスピードランの距離:高強度で走った距離はどれくらいか
  • 最大速度:どれだけのスピードが出せたか

しかし、これらのデータをただ見るだけではパフォーマンス向上にはつながりません。**重要なのは「データをどのように活用するか」**です。

例えば、練習においても組織的な戦術確認を目的とするのか、フィジカルを強化するハードなセッションなのかによって、データの見方は変わります。また、試合や練習中に無駄な時間を過ごしていないか、効率よく動けているかをチェックすることも重要です。

今回は、ラグビーの動きの質に直結する要素として**「加速回数」**に着目し、プロと大学生の違いを分析していきます。

フィジカルの強さ × 加速が「コリジョン」に直結する

ラグビーは「コリジョン(衝突)」の強さが求められるスポーツです。
ただ筋力を鍛えるだけでなく、いかに強く、速く当たるかが試合の勝敗を左右します。

コリジョンの強さ = 体重 × 加速度

つまり、加速の回数が多いほど、相手に強いインパクトを与えることができるのです。
プロと大学生ではこの加速回数にどのような違いがあるのか、実際の試合データを比較しながら見ていきましょう。

次回の記事では、具体的なデータを基にプロと大学生の加速回数の違いを分析し、どのポジションがプロとの差を縮めるべきかについて解説します。

ポジション別の加速回数比較

乖離が大きいポジション(プロと大学の差が50以上)

  • 12番(CTB) – プロとの差: -76(関学戦) / -101(U-18戦)
  • 15番(FB) – プロとの差: -74(関学戦) / -89(U-18戦)
  • 11番(WTB) – プロとの差: -64(関学戦) / -85(U-18戦)
  • 5番(LO) – プロとの差: -61(関学戦) / -62(U-18戦)

比較的プロに近いポジション(差が10未満)

  • 4番(LO) – プロとの差: +7(関学戦) / -29(U-18戦)
  • 6番(FL) – プロとの差: +10(関学戦) / -34(U-18戦)
  • 2番(HO) – プロとの差: -4(関学戦) / -38(U-18戦)

→ 一番プロとの差が大きいのはCTB(12番)、FB(15番)、WTB(11番)、LO(5番)
→ 一番プロとの差が少ないのはLO(4番)、FL(6番)、HO(2番)

<参考資料>

・U-18の試合は35分ハーフ、スクラムは1.5mルール

詳細に関しては「GPSを活用すれば更なるレベルに到達できる!」につづきます。

こちらに関しては映像と解説を入れて説明していきたいので有料になります。(3月公開予定)

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です